難しい単語などをなるべく分かりやすく丁寧に解説する「元バーテンダーによる誰でも分かる」シリーズ第6回目です。
今回はモルトウイスキー「瓶詰め(ボトリング)」の話です。
※他の製造工程はこちらにまとめてありますので、どうぞ。
・元バーテンダーによる誰でも分かるモルトウイスキー製造工程まとめ
瓶詰め(ボトリング)とは
ボトリングとは簡単にいうと、熟成で出来上がったウイスキーを瓶に入れて製品化することをいいます。
ただ瓶詰めに際し
・加水
・後熟
・低温濾過
などを行います。
ボトリング工程
加水
「加水」とは水を加えることです。
通常、樽で熟成されたウイスキーはアルコール濃度が高く、刺激が強いため加水してアルコール度数と味を整えます。
一般に40%〜55%くらいに調整されることが多いです。
また全く加水しない場合もあります。
加水してないウイスキーを「カスク・ストレングス」と呼び一般にアルコール度数は高くなります。
なぜ加水しないかというと、加水しなくてもアルコールの悪い刺激を感じないくらい熟成されているからというのが一般的な理由です。
口あたりはまろやかですが、アルコール度数は高いので飲みすぎには注意してください。
後熟
「後熟」とは別々の樽で作られたウイスキーを一つの樽で混ぜ合わせて熟成させることです。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーを後熟させた場合のウイスキーをブレンデットといいます。
同じ蒸留所内で作られたモルトウイスキー同士で後熟させたウイスキーをシングルモルトといいます。
他の樽と混ぜない、後熟させないウイスキーをシングルカスクといいます。
後熟のことをマリッジともいいます。
低温濾過
「低温濾過」はウイスキーにオリが出るのを防ぐために行われます。
その名の通り低温で濾過するのですが、香味成分も濾過してしまう為、低温濾過を行わないウイスキーもあります。
低温濾過のことをチルフィルターといい、低温濾過を行わないウイスキーのことをノンチルフィルターといいます。
ノンチルフィルターの場合はボトルに通常明記してあります。
瓶詰業者(ボトラーズ)とは
ボトリングの工程を独自に行う業者のことをボトラーズといいます。
蒸留所自身でボトリングをしたウイスキーを「オフィシャル」。
瓶詰業者がボトリングをしたウイスキーを「ボトラーズ」といいます。
ボトラーズは蒸留所から樽を買い付けて、独自にブレンドしたりシングルカスクとして販売します。
ウイスキーは樽ごとで出来栄えが違いますから、良い樽のものをそのまま商品にするわけです。
なぜ蒸留所自身がそうしないかというと、蒸留所は「安定した商品を大量に生産すること」を第一としているからです。
一方、ボトラーズは一樽物、つまりその時しか味わえない一点物を出します。
蒸留所でも限定物を出したりしますが、蒸留所は基本的に「いつもの味を良いコストパフォーマンスで」。
ボトラーズは「コストパフォーマンスは悪いが一点物の味を」。
という住み分けが出来ています。
ただしボトラーズでも当たり外れはあります。
ただ当たりのボトルに出会えた時の衝撃はすごいものがあります。
まだボトラーズを経験されてない方は、ぜひ信用のおけるバーで頼んでみてください。
まとめ
以上、「元バーテンダーによる誰でも分かる」シリーズでした。
簡単ではありますが、製造工程を一応分かっておくことでよりウイスキーを楽しめるようになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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