大麦

ウイスキー

元バーテンダーによる誰でも分かるモルティングの話

難しい単語等をなるべく分かりやすく丁寧に解説する「元バーテンダーによる誰でも分かる」シリーズ。

今日はモルトウイスキーの「モルティング・製麦」のお話です。

※他の製造工程はこちらにまとめてありますので、どうぞ。
『元バーテンダーによる誰でも分かるモルトウイスキー製造工程まとめ』

製麦(モルティング)とは

大麦を発芽させる

製麦とは大麦の芽を出させて麦芽を作ることです。
大麦は発芽した時に「ある酵素」を作ります。

酵素とはタンパク質の一種で様々な種類や作用がありますが、簡単にいうと「物質を変化させる時に必要なもの」といったところです。

この「ある酵素」の働きはデンプンを糖に分解するというものです。
デンプンは大麦に含まれますので、このデンプンと「ある酵素」が同時にある状態を作り出すのです。

なぜデンプンを糖に分解する必要があるかというと、デンプンのままでは酵母が働けないからです。
(酵素と酵母がごっちゃにならないよう気をつけてください。)

酵母とはイーストとも呼び、簡単に言うと「菌」、微生物です。
酵母は糖を餌にして、アルコールに分解しながら成長します
これがいわゆる発酵です。

少し整理しますと
・アルコールを作るには「糖」と「酵母」が必要。
・大麦のデンプンを糖に変えるには発芽させて酵素を作る必要がある。

となります。

眠らせていた大麦を発芽させる

実際の発芽工程を解説していきます。
モルトウイスキーの原料の麦には二条大麦が使われます。
二条大麦は穂が大きく沢山デンプンがありますので、ウイスキー作りに向いています。
この二条大麦をまず乾燥させ、寝かせて保管しておきます。

そしてこの大麦を発芽させるには、まず水に浸します。(浸麦といいます)
それから空気に触れさせ、息をさせることで発芽してきます。
この工程を何度か行います。

攪拌する

次にモルトハウスという場所でコンクリ床の上に攪拌されます。
この工程は発芽を均等にするためです。
この作業は木製シャベルによる手作業で行い重労働になります。
この重労働で肩が痛くなることを「モンキーショルダー(肩に猿が乗っているようだ)」と呼んでいました。
モンキーショルダーというウイスキーの名前はここから来ています。

乾燥させる

次に発芽を止めるために送風によって乾燥させます。
この送風の温度が重要で燃料を使って熱風を送り込むのですが、この燃料にピート(泥炭)を使うと、いわゆるスモーキーフレーバーが麦芽についていきます。
ピートに関しては別途解説します。

フロアモルティングとモダンモルティング

ここまで解説してきた方法は伝統的なモルティングの方法でフロアモルティングと呼ばれます。
実はこのフロアモルティングは今はあまり行われなくなっております

現在はモルトスターという製麦業者によるモダンモルティングが主流になっております。
これは機械によって行われており効率的に製麦をすることができます。
工程としてはフロアモルティングと同じ「浸麦→攪拌→乾燥」機械で行うことになります。

それぞれにメリットがありますが、基本的な工程は同じです。
以上製麦に関するお話でした。
お読みいただきありがとうございます。

>>ウイスキー製造方法に戻る➡︎『元バーテンダーによる誰でも分かるモルトウイスキー製造工程まとめ』


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